大西みつぐ著「叙情カメラ歳時記 東京手帖」と横木安良夫著「横木安良流スナップショット」です。大西みつぐ氏の「東京手帖」には、池の端に腰掛けた老人を撮った作品があります。鳥打ち帽をかぶった老人は、ハーモニカを吹いています。1曲500 円でリクエストに応えるそうです。いかにも東京という感じです。でも、流しではなく、音色に惹かれて寄ってきた人に声をかけるのですから、そこにプライドを感じます。リクエストをせずに聴き入っている人達を追い払うこともしないでしょう。場所は、上野不忍池とあります。日が暮れたら、稼ぎで一杯やるのでしょう。おじさん、御徒町にある居酒屋「釧路」が安くて肴も美味しいよ。歩いても5分もかからないよ。そう教えてあげたいです。
横木安良夫氏の文庫本には、信号待ちをする女性を撮った作品があります。作品解説には六本木とあります。すらりとスタイルのいい女性です。ピンクのマフラーに顔を埋めています。寒いのか、あるいは、何か視線が下がりがちになる出来事があったのか。ちょっと気になります。斜め前に停車したタクシーのドアが開いています。そこから、待ち合わせに遅れた彼氏が現れて、途端に彼女もニッコリ。と、なればドラマです。でも、今は携帯があります。たとえ時間に遅れても、今どこ、あと何分と実況調になります。携帯は、そんな想像の楽しみも消し去りました。ところで、この位置から上を見上げれば、ヒルズが聳え立っているのでしょうか。